地域医療に従事する医師の苦労を知る

都会の忙しさに違和感や抵抗感を感じる、大学病院など大きな病院のスピード感についていけない、もっと患者と近く寄り添った診療を行いたいなど、さまざまな理由から地方へ活躍の場を移す医師が増えてきています。

都市部の中途半端な医療機関よりも、まだまだ医師不足が深刻な地域へと移った方が収入などの待遇面でもメリットがあると感じ、敢えてそうした場所を選択して転職する医師も少なくありません。 しかし、そうした地域ならではの苦労もあることを知った上で転職を決意する必要があるでしょう。

  閉鎖的な地域社会に馴染めず辞めていくケース

こんな話があります。
ある地域の診療所から医師の求人が出ていました。
待遇も悪くなく休日も年末年始を合わせしっかりと取ることができ、また、当直等もないことから興味を持った医師がその村に移り住んだのですが、そこでは村の住民による医師への嫌がらせが横行し、医師は1年ほどで辞めていったという事例があるのです。

実はその地域では、医師に対して村八分のような形で接し、1年から2年という短いスパンごとに医師が次々と入れ替わるという異常事態が起こっているのです。
この話は私たちコンサルタントの間でも知らない人はいないほど有名な話。

頻発する事例ではありませんが、村八分に近い状況が起こることは他の地域でも考えられるでしょう。

よそから来た医師がその地域社会に馴染むのは簡単なことではありません。
そうしたコミュニティではよそ者に対する警戒心や嫌悪感が強く、非常に排他的な環境になりやすい。
そうしたところに転職してしまえば、必ず再び転職したいと感じることになるはずです。

もちろん、医師の求人にわざわざそんなことは書かれていませんし、行って実際に働いてみるまでわからないという怖さもあります。
地方への転職の失敗例というのは、思いのほか多いもの。
地域住民との対話も転職後に始まるわけですから、行く前にその状況を確認することは、少なくとも医師の求人のみを見て転職先を決めるような医師では難しいのです。

しかも、対話しようにも、小さな診療所であれば多勢に無勢、その地域社会を根本から洗浄することなどできません。

医師というのは、環境によって非常に弱い立場になり得ます。
転職先を間違えると救世主や神様ではなく、邪魔者扱いされ、いじめの対象にもなり得るのです。
あまり極端な例ばかりを挙げて恐怖を煽るつもりはありませんが、そうしたリスクもあると認識しておくことは重要でしょう。

他にも、地方へ転職すると、人間関係が構築できない、家族の問題が生じる、医療環境や設備の不備、あるいは医師不足により都市部での勤務よりもハードになってしまうなどの転職失敗例が多々あります。

そうした先人たちの失敗例をしっかりと把握しながら同じ轍を踏まぬように動くことが求められるのです。