求人内容に間違いがないとは限らない

転職を試みる医師の中には、人間関係や収入面に不満を持って働き先を変えたいと考える人も非常に多いのが現状です。
実際に、私のところに相談に来る人も、キャリアアップや転科などに対して非常に前向きで、とても強い意欲を抱えている医師もいるものの、話を聞いていくとどうしても現在の職場に不満を持っているがために転職したいと考える人が少なくないのです。

そうした医師が多く犯す失敗が、医師の求人を真に受け応募し、働き始めてしまうというもの。
しっかりと精査して求人内容に間違いがないことをチェックしてから掲載している求人サイトはいいのですが、残念ながらそのようなサイトばかりではありません。

目に見える部分を信じ切ってしまい、それ以上の情報を把握しないまま新たな病院やクリニックに移ってしまうことはリスクでしかないことを知っておきましょう。

  実際にあった転職失敗談

転職して1ヶ月も経たないうちに私のところに相談に来た医師がいました。
その医師は、当直とオンコールの有無は選択できるという求人内容に惹かれ勤務先を移ることを決意したのですが、実際にはほぼ強制的に当直を任され、そしてオンコールも当然のようにあるという状況に、「約束が違う」という思いを抱いて私のところに駆け込んできたわけです。

もちろん、その病院を紹介したのは私でもなければ、私の属するエージェントでもないのですが、求人サイトで自ら求人を検索し、そしてコンサルタントに相談することもなく応募してしまったがための失敗だったのです。

また、同じように求人サイトでチェックをするのみで、コンサルタントに相談せずに決めてしまったが故に失敗してしまったと嘆いていた別の医師も担当したことがあります。

その医師は若いうちから経験を積みたいと思い転職を決意。
求人に「手術に意欲のある医師を募集」とあり、外来のみの募集をしていないわけではないが、できるだけ手術ができる医師を探しているとのことだったので応募したものの、働き始めてみたら一向に手術に入らせてくれず、これまた「約束が違う」と、その医師は怒り心頭の様子でした。

若いけれども元の病院で手術経験も多数あり、執刀を任せるのが不安であるわけでもありません。
意欲があり、優秀な医師を確保しながら、しかし手術自体はベテラン医師に任せるという、その病院の考え方があったのでしょう。
それでも医師が求人に、言ってみれば騙されてしまったことは間違いありません。

医師の求人のみを信じ、それ以上の情報を集めずに転職してしまうと、このような失敗というリスクを背負うことになりかねないのです。

じゃあどうしたらいいの?



コンサルタントに相談して転職に成功した体験談

内科医:H.Mさん(35歳)
・医局での人間関係

私は東京の大学の医学部を卒業したのち、研修医時代を経て医局で総務を務め、学生時代に面倒を見てくれていた先生の紹介で大病院に勤務する事となり、総合内科医として勤務していました。

しかしながら、この病院では医局の存在が大きく、理事長の権力がかなりの幅を利かせており、スタッフは理事長や上役の機嫌を損ねないよう萎縮しながら毎日の仕事をこなしていました。
当然ながら私ももれなくその一人であり、自分の言いたい事も言えず、やりたい研究もやらせてもらえず、それどころか同年代は過剰にライバル視して揚げ足を取ったり、些細な事でも告げ口をしてくる始末。
私はそういった医療と無関係な争いからは自分を遠ざけるようにしていた事もあり、評価もあがらず年棒も据え置きのまま同期に追い抜かれていく状況でした。

この頃の私は、「このままこの病院に勤めていて将来性はあるのか、能力を伸ばす30代という貴重な時間を成長もなく過ごす事になってしまうのではないか」などという不安や恐怖感が、常に心の奥にあるような精神状態でした。

・人間関係に疲れて転職を決意
そんな医局での人間関係にほとほと嫌気がさした私は、ついに転職を決意する事に。
最初に相談したコンサルタントに紹介された病院は私の希望どおり家から近く年棒もそこそこ満足のいく条件でしたが、面接を受けたところ「医師会とのお付き合いを考えるとあなたの転職は断らざるをえない」との病院側の回答。

距離が近くては結局のところ医局のしがらみから抜け出せないという事を思い知った私は、思い切って県外の病院への転職する事に。
県外という事で担当もその地域のコンサルタントに代わり、その方は病院だけでなく地域の暮らしについても詳しく教えてくれて、通勤や通学など子供や家族の将来まで考慮に入れた転職先選びをしてくれました。

・納得のいくコミュニケーションの先の転職
「複数の病院の面接を受けて納得のいくところに転職を決めたほうがいい」というコンサルタントの方の助言にそって、複数の病院と条件交渉をしました。
その中で、K病院の院長と飲みに行ったりするようになり、院長の医療に対する理念や医師としての将来性を伸ばしてくれる環境にとても共感を覚え、K病院に転職する事が決まりました。
年棒も1200万円と大幅に上がり、勤務後に研究の時間を確保できたり最新の設備を利用できるので、自分の医師としての可能性やキャリア向上にとって、これ以上ない環境になったと思います。
やはりコンサルタントや転職先の病院の方々とじっくり納得がいくまでコミュニケーションをとった事が、私の転職成功の秘訣だと思っています。